そもそもビールって何?【ビールの定義と製法の基本】

そもそもビールって何?
  • URLをコピーしました!
ヨーロッパビール好きの洋子

ビールってそもそも何?

麦を使ってるって聞くけど、他のお酒とどう違うの?

こんな疑問にお答えします。

この記事でわかること
  • ビールの定義
  • 他のお酒との違い
  • ビールに使われる原料や製法の基本

ビールと聞いて、あなたは何を思い浮かべますか?多くの人がビールを飲んだことはあっても、「そもそもビールとは何?」と問われると、答えに詰まることもあるでしょう。

この記事では、ビールの基本的な定義と特徴について、具体的に説明していきます。これを読めば、ビールのことがぐっと身近に感じられるはずです。

著者:みゃーこ

ある日、私は友人との会話で『ビールってどうやって作られているの?』と聞かれました。その時、実は私はビールの製造過程や原料についてほとんど知らなかったんです。

でも、その質問をきっかけに、ビールの製法について調べてみると、発酵の仕組みやホップの役割などにすごく興味を持つようになりました。

それ以来、ビールを飲むときには、その背景や製法について考えるようになり、ビールをより深く楽しめるようになりましたよ!

目次

ビールの定義

ビールは、麦芽(大麦を発芽させたもの)を主要原料として、これにホップと水、そして酵母を加えて発酵させたアルコール飲料です。

発酵の過程で生じる炭酸ガスと、ホップの苦味がビール独自の爽快感を生み出します。

国によってビールの定義は異なりますが、基本的には以下の条件がよく見られます。

  • 原料に麦芽を含むこと
    多くの国では麦芽が主要成分であることがビールの条件とされています。
    例えば、ドイツの「ビール純粋令」では、麦芽、ホップ、水、酵母のみを使用することがビールの条件とされています。

  • アルコール含有量
    一般的にはアルコールを含む飲料であることが定義され、アルコール度数は3~12%が一般的です。

  • その他の成分
    国によっては、フルーツや香辛料、糖類などを加えたビールも許容されています。
    これにより、フルーツビールやスパイスビールなど、より幅広いビールスタイルが生まれています。

他のお酒との違い

ビールはウイスキーや焼酎と異なり、発酵酒の一種です。

発酵酒は、「微生物の働きで糖分がアルコールと二酸化炭素に変わったお酒」です。

具体的には、酵母やバクテリアが原料の糖を発酵させてアルコールを生成し、その過程で独特の風味や香りを生み出す飲料のことを指します。

代表的な発酵酒には、ビールやワイン、日本酒などがあります。

ワインは果物の糖分を利用して発酵させますが、ビールは麦芽のデンプンを糖分に変え、これを発酵させて作ります。

また、ウイスキーはビールと同じように麦を原料としますが、蒸留の工程を経る※ためアルコール度数が高くなります。

ビールは発酵のまま仕上げるため、アルコール度数は一般的に3〜8%程度です。

※ ウイスキーのアルコール度数が高いのは、蒸留という過程でアルコールを濃縮するから。

発酵だけだと、ビールやワインのようにアルコール度数は低めですが、蒸留では発酵した液体を加熱して、アルコールが先に蒸発することを利用します。


その蒸気を集めて冷やすと、水よりもアルコールの多い液体ができるので、結果としてアルコール度数が高くなるのです。

ビールに使われる主な原料

ビールの原料は、ずばり次の4つです。

① 麦芽(モルト)
 主に大麦を発芽させたもの。

 ホップ
 ビールに苦味と香りを与える植物。

③ 
 ビールの大部分を占め、味に大きく影響。

④ 酵母
 発酵を行い、糖をアルコールと炭酸ガスに変える微生物。

以下で詳しく説明します。

① 麦芽

ビールのベースとなる成分で、主に大麦を発芽させたものを乾燥させて作ります。
大麦はビールの風味や質感に適しており、ビールの主要原料として最も一般的です。
これが糖分となり、発酵過程でアルコールに変わります。

大麦畑
大麦畑
麦芽
麦芽

中には小麦を使ったビールもあります。
小麦を使うと、ビールがより滑らかでフルーティーな味わいになることが特徴です。
小麦を使ったビールには、ヴァイツェンホワイトビールなどがあります。

② ホップ

ビールの独特な苦味や香りを与える役割を持つ植物。
ホップは防腐効果もあり、ビールの保存性を高めます。

ホップ
ホップ

ホップは、主に北半球の冷涼な地域で栽培されています。
具体的には、以下の国や地域が主要な生産地です。

  • アメリカ
    特にワシントン州のヤキマバレーが有名です。アメリカは世界最大のホップ生産国のひとつで、独自の品種も多く栽培されています。

  • ドイツ
    世界有数のホップ生産国で、バイエルン地方のハラタウ(Hallertau)が最も有名です。古くからビールの本場としても知られています。

  • チェコ
    特にザーツ(Saaz)という地域が有名で、アロマホップの名産地として知られています。

  • イギリス
    ケント地方がホップの生産で有名で、伝統的なエールビールに使われる品種が栽培されています。

また、ニュージーランドやオーストラリア、ポーランドなどでもホップが栽培され、独自の風味を持つ品種が生産されています。


日本でもホップは栽培されていて、とくに北海道が日本のホップの主要な生産地です。
気候が冷涼で、ホップの栽培に適しているためです。

北海道の中でも上富良野町ニセコ町などがホップ栽培で有名。

日本のホップは、一部の大手ビール会社やクラフトビールメーカーによって使用されており、日本産のホップを使ったビールもあります。

また、近年では国内外でクラフトビールの人気が高まり、日本のホップの品質にも注目が集まっています。

③ 水

ビールの約90%は水。
水の硬度や成分がビールの味に大きく影響します。

ビールの原料として水にこだわる場合、以下のポイントに注目します。

  • 水の硬度(ミネラル成分)

    水の硬度は、カルシウムやマグネシウムの量で決まります。
    硬水(ミネラルが多い水)はビールにシャープな味わいを与え、軟水(ミネラルが少ない水)はまろやかでクリアな味わいになります。
    例えば、イギリスのバス地方は硬水が豊富で、苦味のあるエールに適しています。
    また、ドイツのミュンヘンは中硬水が多く、まろやかなラガービールに適した水質です。

  • 水のpH値
    水のpH値は、麦芽の糖化や酵母の発酵に影響を与えます。
    酸性すぎたりアルカリ性すぎると、発酵のバランスが崩れ、ビールの風味が変わってしまいます。
    そのため、醸造所では適切なpH(通常は中性または弱酸性)の水を選びます。

  • 水の浄化
    現代では多くの醸造所が水の浄化技術を駆使して、不要な不純物や塩素を取り除き、より純粋な水を使用しています。
    これにより、ビール本来の風味が保たれ、安定した品質のビールを醸造できます。

  • 水質の調整
    醸造所によっては、ミネラルを加えたり調整して理想的な水質を作り出すこともあります。
    特定のスタイルに合う水を再現するために、ミネラルやpHを人工的に調整する技術も一般的です。
    水質にこだわることで、ビールの風味や飲み口が大きく変わるため、多くの醸造所は水選びを非常に重視しています。

④ 酵母

ビールの発酵を引き起こす微生物で、糖をアルコールに変えます。
ビールの種類によって使用する酵母が異なることも特徴です。

ビールに使われる酵母の違いは、ビールの味やスタイルに大きな影響を与えます。

主に上面発酵酵母下面発酵酵母の2種類があり、それぞれ異なる特徴を持っています。

上面発酵酵母(エール酵母)

  • 発酵温度 15~25℃の比較的高い温度で発酵します。
  • 酵母の位置 発酵中に酵母が液体の上に浮かび上がるため「上面発酵」と呼ばれます。
  • 特徴 エールビールやポーター、スタウトなど、フルーティーで複雑な香りを持つビールが多いです。

    バナナ、リンゴ、ナッツ、クローブなどの風味が感じられることがあり、豊かな味わいを楽しむことができます。
  •  イギリスのエールビール、ベルギーのトラピストビールなど。

下面発酵酵母(ラガー酵母)

  • 発酵温度 7~13℃の低温で発酵します。
  • 酵母の位置 発酵中に酵母が液体の底に沈むため「下面発酵」と呼ばれます。
  • 特徴 ラガービールのように、クリーンでスッキリとした味わいが特徴。
    ホップの苦味や麦の味がよりクリアに感じられ、香りは抑えられます。
    冷たい温度で長期間熟成されるため、爽快感のあるビールになります。
  •  ドイツのピルスナー、アメリカンラガー、日本の一般的なビールなど。

 おまけ: 自然発酵酵母(野生酵母)もあります。

  • 発酵方法 特定の地域でしか育たない野生の酵母や微生物によって発酵します。
    ビールの仕込み液(麦汁)を開放された容器に入れて冷まし、自然に飛び込む酵母を捕まえて発酵させる方法が一般的です。
  • 特徴 自然発酵ビールは、酸味が強く、複雑でユニークな味わいが特徴です。
    フルーティーな酸味、乾いた味わい、場合によっては少しの苦味や炭酸感が加わることもあります。
    時には、チーズや革のような香りが出ることもあり、非常に個性的なビールが多いです。
  •  ベルギーのランビック

ビールの製法

ビールの泡

ビールの製造過程はシンプルですが、細かな技術が必要とされます。
以下がその主な流れです。

STEP
麦芽の糖化

まず、麦芽を水と一緒に加熱し、デンプンを糖に変えます。
この過程を「糖化」と呼びます。

STEP
ホップの加熱

続いて、ホップを加え、ビール特有の苦味と香りを加えます。
この工程で、液体は「麦汁」と呼ばれるものになります。

STEP
発酵

麦汁に酵母を加え、発酵させます。
この過程でアルコールが生成されます。

STEP
熟成・ろ過

発酵が終わった後は、ビールを一定期間熟成させ、その後ろ過して不純物を取り除きます。
ここでビールはクリアな見た目になり、飲みやすくなります。

STEP
瓶詰・缶詰

最後に瓶や缶に詰められ、出荷されます。
樽詰めされるビールも多く、特にクラフトビールや生ビールは、より新鮮な状態で楽しめます。

まとめ

ビールの定義や製造過程を知ることで、あなたが普段何気なく飲んでいるビールがどのように作られ、他のお酒とどう違うのか、より深く理解できたのではないでしょうか。

次回ビールを飲むときには、この記事を思い出してみてくださいね。

ビールは単なるお酒ではなく、歴史や文化、製造技術が詰まった素晴らしい飲み物です。

ぜひ、さまざまな種類のビールを楽しんでください!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次