
トラピストビールって何?
なんだか特別らしいけど、普通のビールと何が違うの?
こんな疑問にお答えします!
トラピストビールって
こんなビールたち♪








名前を聞いたことはあっても、いざスーパーで探してもなかなか売ってないトラピストビール。
「本当に存在するの?」「なんでそんなに特別扱いされてるの?」って思いませんか?



実は、トラピストビールはごく限られた修道院だけが造ることを許された、めちゃくちゃ特別なビールなんです!
流通が限られていて簡単には手に入りにくいですが、その分、知れば知るほど味わい深く、奥が深い世界が広がっていますよ♪
この記事では、「トラピストビールってそもそも何?」という基本的なことから、「初心者はどれから飲めばいいの?」「日本で買えるの?」といった疑問まで、やさしく丁寧に解説していきます♪
- 本記事の信憑性


当ブログの筆者はヨーロッパ在住、海外歴5年超。中東での“禁ビール生活”を経て出会った本場の一杯に心を奪われ、気づけば1,000本以上の現地ビールを飲んできました。
元法人営業の情報収集力と、3つのブログ・SNS運営で培った発信力を活かし、「ただの酒好きでは終わらない本気のビール愛」でリアルな情報をお届けします。
じっくりご覧いただけますと幸いです🙇♀️
トラピストビールの定義


トラピストビールは、キリスト教カトリックのトラピスト会修道院で醸造される特別なビールです。
ただ修道院で作られているだけではなく、以下の厳格な基準を満たしている必要があります。
- すべての製品は修道院の敷地内、またはその周辺で製造されていること。
- 製造は修道士または修道女自身、あるいはその監督のもとで行われていること。
- 利益は修道共同体の生活費、トラピスト会内部の連帯活動、または開発プロジェクト・慈善活動に充てられること。
この基準を満たしたビールのみが「トラピストビール」と名乗ることができます。



つまり、信仰と伝統、品質管理の全てが詰まった希少なビールといえるんですね!
トラピスト会修道院とは?
トラピスト会は、正式には「厳律シトー会」と呼ばれるカトリックの修道会の一派で、祈りと労働の生活を重視することで知られています。彼らは自給自足を基本とし、外界との関わりを極力避けながら質素な生活を営んでいます。
この「労働」の一環として、ビールやチーズ、パン、ジャム、クッキーなどを修道院内で製造しているんです。製品はすべて手間暇かけた丁寧な手仕事で作られており、品質の高さが評価されています。
その中でもビールが最も一般的な製品なのですが、トラピストチーズも有名。シメイ修道院などでは、ビールと同じ酵母や原料を使ったチーズが作られており、風味の相性は抜群です。
その他にも、パンやクッキー、ジャム、石鹸といった商品は、地域の直売所やオンラインショップなどで手に入ることもあり、お土産としても人気がありますよ。
トラピストビールについているロゴマークについて


国際トラピスト会(ITA)の加盟修道院が製造する一部の製品には、「Authentic Trappist Product(ATP)」という六角形のロゴマークが付いています。このロゴは、トラピスト修道院による厳格なガイドラインに基づいて醸造されていることを示す公式認証マークです。
トラピスト修道院の製品として最もよく知られているのはさまざまな種類のトラピストビールですが、パン、チーズ、リキュール、宗教的工芸品など他の製品もこのラベルの対象になることがあります。



ビール市場には「修道院風」や「アビー(Abbey)ビール」と呼ばれる模倣スタイルも多くありますが、ATPマークは唯一の、正真正銘のトラピストビールの証です。
ATPラベルが付与されている製品と修道院一覧
以下、当記事執筆時点でのトラピスト修道院とATPラベルがついた正式な製品の一覧です。
製品名クリックで詳細へジャンプ
製品名 (ブランド) | 修道院名(日本語) | 所在国 | 認証製品(日本語) |
---|---|---|---|
BOA VISTA | ボア・ヴィスタ修道院 | ブラジル | チョコレート |
CARDENA | サン・ペドロ・デ・カルデーニャ修道院 | スペイン | リキュール |
CHIMAY | スクールモン修道院 | ベルギー | ビール、チーズ |
KLAARLAND | クラールラント小修道院 | ベルギー | ジャム |
LA TRAPPE | コーニングスホーフェン修道院 | オランダ | ビール、チーズ、パン、ビスケット、 チョコレート、ジャム、ハチミツ |
MONT DES CATS | モン・デ・キャ修道院 | フランス | チーズ |
ORVAL | オルヴァルの聖母修道院 | ベルギー | ビール、チーズ |
ROCHEFORT | ロシュフォールのサン・レミ修道院 | ベルギー | ビール |
TRE FONTANE | トレ・フォンターネ修道院 | イタリア | ビール、リキュール |
TYNT MEADOW | マウント・セント・バーナード修道院 | イギリス | ビール |
WESTMALLE | ウェストマールの聖心修道院 | ベルギー | ビール、チーズ |
WESTVLETEREN | ウェストフレテレンのサン・シクストゥス修道院 | ベルギー | ビール |
ZUNDERT | マリア・トエフルフト修道院 | オランダ | ビール |



この表を見ると、13の修道院のうち 9か所 が「トラピストビール」を製造していますね。
また、ビールを醸造しているトラピスト修道院が最も多いのはベルギー(6か所)で、他はヨーロッパを中心に分布していることもわかります。
「アヘル」と「グレゴリウス」は今、トラピストビールではない?
「アヘル」と「グレゴリウス」というビールブランドは、かつて正式なトラピストビールとして認められていたものの、現在はATPラベルを持たないため「トラピストビール」ではありません。(記事執筆時点)
アヘル(Achel) – ベルギー
- ATP認証喪失:2021年
- 理由:修道院にトラピスト会の修道士がいなくなったため
- 醸造自体は続いていますが、「トラピストビール」とは名乗れなくなってしまいました。
グレゴリウス(Gregorius) – オーストリア
- ATP認証喪失:2023年
- 理由:Engelszell修道院が閉鎖されたため
- 同修道院では「Benno」や「Triga」なども醸造されていました。
トラピストビールの歴史
トラピストビールの起源は中世ヨーロッパにさかのぼります。
安全な水の確保が困難だった時代、ビールは殺菌効果があり、衛生的な飲料として重宝されていました。修道士たちは断食期間中の栄養補給や、巡礼者へのもてなしとしてビールを醸造し始めたといわれています。
近代になり、修道院でのビール醸造は一時衰退しますが、20世紀以降に再評価され、現在のような国際的なブランドとして確立されました。
初心者におすすめのトラピストビール4選!迷ったらコレから。








トラピストビールは修道院で伝統的な製法で醸造される特別なビールということがわかりましたね。
では、実際どれから試したらいいの?と思ったそこのあなたへ。ここでは特に有名で最初に飲むのにおすすめな4つのトラピストビールをご紹介します。
シメイ(Chimay)
シメイはベルギーを代表するトラピストビールで、レッド、ホワイト、ブルーといったラインナップが揃っています。フルーティで複雑な味わいが特徴で、初心者からビール愛好家まで幅広く支持されています。



トラピストビールらしい芳醇さを持ちつつも、飲みやすくバランスの良い味わいなので、最初のトラピストビールには一番おすすめです!


オルヴァル(Orval)
オルヴァルは独特なホップの香りとわずかな酸味が印象的なビールです。野生酵母を使った醸造法で、個性的な味わいを持ち、多くのファンに愛されています。
ロシュフォール(Rochefort)
ロシュフォールは濃厚で力強い味わいが特徴のトラピストビールです。特に「8」「10」「12」のナンバリングが有名で、それぞれに異なったカラメルやスパイスの風味が楽しめます。深みのある味わいが魅力です。


ウェストマール(Westmalle)
ウェストマールはトリプルとダブルの2種類が主力で、バランスの良い味わいと豊かなコクが特徴です。伝統的な製法を守りつつも飲みやすさがあり、多くの人に愛されるビールです。





味わいやスタイルの違いを知って、あなたのお気に入りを見つけてみてくださいね♪
トラピストビールは日本でも買える?
日本でもトラピストビールは購入可能です。ただし、一般的なスーパーやコンビニではあまり見かけないのが実情です。以下のような場所で探すのがおすすめですよ。
- 輸入酒専門店(成城石井、やまや、一部のカルディなど)
店舗によってはトラピストビールコーナーが設けられていることもあります。 - 大型デパートの酒売り場
高級志向のビールを扱う場所では、シメイなどの有名銘柄が手に入ることがあります。 - オンラインショップ(楽天市場、Amazon、輸入酒専門通販など)
一番確実で品揃えも豊富。入手困難な銘柄も予約やお取り寄せで手に入ることがあります。



なお、「ウェストフレテレン」のような超希少銘柄は、現地での直接購入や限定販売のみというケースがほとんどです。
トラピストビールの味
トラピストビールの味は、銘柄によって異なりますが、以下のような共通点があります。
- 熟した果実のような甘み
- スパイスや酵母由来の複雑な香り
- 中〜高めのアルコール度数(6〜12%)
- 濃密で豊かな口当たり
- 上面発酵でボトルコンディション(瓶内二次発酵)されているものが多い
また、近年ではトリプル、ダブルといった伝統スタイルだけでなく、IPAやスタウトなど新しいスタイルを取り入れる修道院も増えています。
トラピストビールの楽しむポイント
トラピストビールは、単なる飲み物ではなく、「じっくり味わう体験」として楽しむのが醍醐味です。修道院の伝統と時間が詰まった一本を味わうには、いくつかのポイントがあります。
適切な温度で楽しむ
多くのトラピストビールは、冷やしすぎず(10〜14℃ほど)、香りや味わいが引き立つ温度で提供すると、より奥深さを感じられます。冷蔵庫から出してしばらく置いておくのが理想です。
専用グラスの使用
広口で丸みのあるグラスは香りを逃がさず、泡立ちも美しく楽しめます。シメイやオルヴァルなど、多くの銘柄にはそのビール専用のグラスが用意されています。


料理とのペアリング
トラピストビールは、その複雑で奥深い味わいから、料理とのペアリングも非常に楽しいジャンルです。
たとえば、シメイ・ブルーのようなコクのあるビールは、チーズや煮込み料理と相性抜群。オルヴァルのようなドライな風味のビールは、サラミやハードチーズとよく合いますよ。
時間と共に味の変化を楽しむ
最後に、トラピストビールならではの楽しみ方として、時間の経過による味の変化を感じるのも面白いです。
瓶内熟成が進むと風味がまろやかになり、まるでワインのように奥深い味わいに変化します。ということで、保存状態に気をつけながら少し寝かせてみるのもおすすめです!
まとめ
トラピストビールは、ただのビールではなく、修道院の伝統と信仰、厳格な基準に裏打ちされた特別な存在です。
この記事では、トラピストビールの定義や歴史、製造している修道院一覧、味や特徴、初心者向けの銘柄選び、楽しみ方や料理とのペアリングまで、幅広くご紹介しました。
流通量こそ少ないですが、一本一本に込められた想いと品質の高さは、知れば知るほど深く味わえる魅力に満ちています。ぜひ、自分に合った一本を見つけて、トラピストビールの奥深い世界を楽しんでみてくださいね♪