ORVAL(オルヴァル)ビールとは?味・特徴【実飲レビュー】

ORVAL(オルヴァル)ビールとは?味・特徴【実飲レビュー】
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ヨーロッパビール好きの洋子

ORVAL(オルヴァル)は、ベルギー南部の修道院で醸造されるトラピストビールの一つ。

三段階の発酵によって生まれる、他にはない複雑な香りと爽やかな酸味が特徴です!

力強さの中に繊細さがあり、ビール愛好家の中でも特に根強いファンを持つ一本なんです♪

記事内リンク

トラピストビールとは?
三段階の発酵とは?

ORVAL(オルヴァル)ってこんなビール
ORVAL(オルヴァル)ってこんなビール
著者:みゃーこ

私がこのビールを一口飲んでまず驚いたのは、フルーティーでスパイシーな香りと、軽やかな酸味のバランス

泡立ちがとても良く、グラスに注ぐとその見た目だけでも心がときめく…!

発酵の重なりで、たしかに複雑な香りと味わいを生み出していて、飲むたびに発見があるビールです。

クセになる個性で、じっくり味わいたい一杯♪

オススメ度:★★★★5/5)

目次

ORVAL(オルヴァル)の基本情報

ORVAL ビール
出典:Beer Lovers
ビールの種類トラピスト・スペシャルエール
アルコール度数6.2%
原産国ベルギー
発売年1931年
オレンジがかった琥珀色
味わいフルーティー、スパイシー、ドライ&酸味
特徴三段発酵による深い香りと、爽やかで複雑な味

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トラピストビールとは?

ORVALは、「トラピストビール」の認定を受けている世界でも貴重なビールのひとつです。

そもそも、「トラピスト」とは?

トラピスト(Trappist)とは、カトリックの修道会「厳律シトー会(Order of Cistercians of the Strict Observance)」に属する修道士や修道院を指します

この修道会は、祈りと労働、自己規律を重んじる厳格な生活スタイルを特徴とし、「修道院製品」として知られるビールやチーズの製造でも有名です。

トラピスト修道院は世界中にありますが、特にトラピストビールの醸造で知られる修道院は、ベルギーやオランダなど、主にヨーロッパに集中しています。

その名を名乗るには、厳しい条件を満たす必要があるため、「トラピストビール」は世界でもわずかしか存在しません。

「トラピストビール」の三原則

トラピストビールとして認定されるには、以下の3つの条件を満たす必要があります。

  1. 修道院内または周辺で醸造されていること

  2. 修道士の監督のもとで製造されていること

  3. 利益が修道院の運営や慈善活動に使われること
著者:みゃーこ

ORVALもこの基準をしっかりと守り、真摯な姿勢でビールを造り続けています。

三段階の発酵って何?このビールだけなの?

「三段階の発酵」とは、ビールを発酵させる工程を3つの段階に分けて行う、オルヴァル独自の製法を指します。これは一般的なビールづくりとは異なる特殊な手法で、オルヴァルの複雑で変化する味わいの鍵となっています。

三段階の発酵とは?

通常ビールは主に「一次発酵+熟成(二次発酵)」の二段階で造られますが、ORVALは瓶内発酵も加えた三段階の発酵工程で、より複雑で深い味わいを作っています。

ORVALビールにおける三段発酵は以下のような流れです。

STEP
主発酵(一次発酵)

通常のエールビールと同じように、最初にタンク内で上面発酵酵母(エール酵母)を使って発酵。この段階でアルコールが生成されます。

STEP
瓶詰め前の再発酵(二次発酵)

発酵が一段落したビールにブレタノマイセス酵母(いわゆる「野生酵母」)を加えます。これにより、ビールに独特の酸味やフルーティな香り、ドライな後味が加わります。

STEP
瓶内熟成・再発酵(三次発酵)

さらにそのまま瓶の中でもう一度ゆっくりと再発酵・熟成。これにより、時間が経つにつれて味がまろやかに変化し、熟成ビールとしても楽しめるようになります。

ORVALのきめ細かくクリーミーな泡
三段発酵で自然に発生する炭酸ガスが
きめ細かくクリーミーな泡も生み出します

この製法はオルヴァルだけ?

明確に三段階の発酵を行うトラピストビールは、現在のところオルヴァルのみとされています。

特に、瓶詰め前に酵母を意図的に加え、さらに瓶内熟成を促すという手法は、他のトラピストビールではほとんど見られません。
このため、オルヴァルの味わいは他のどのビールとも似ておらず、唯一無二の存在として長年ファンに愛されているのです。

ORVAL(オルヴァル)の誕生秘話

ORVAL(オルヴァル)の昔の写真
ORVAL(オルヴァル)の昔の写真
出典:公式サイト

オルヴァル修道院では、実は中世の頃からビール造りが行われていたと考えられています。「ホップ畑」という地名や、古い記録に残る醸造設備の記述が、その歴史を物語っています。

ブドウの栽培が難しいこの地域では、ビールが「液体のパン」として栄養源とされ、日常的に飲まれていました。

1529年には、戦後の修道院再建のため、皇帝カール5世から鋳造所(=金属加工工場)の運営が許可され、修道院は経済的な自立を確立していきます。

しかしその後、修道院は長く廃墟の状態に。

そして20世紀初頭、再建が始まると同時に、新たな収入源として1931年に醸造所が設立されました。
パンやチーズづくりとは異なり、最初から一般の職人が雇われていたのが特徴です。

初代の醸造責任者はドイツ人のマルティン・パッペンハイマー氏。そして彼と共に働いたベルギー人スタッフたちの手によって、今のオルヴァルビールのスタイルが築かれました。

彼らはとても革新的で、イギリス式の製法(ドライホッピングやインフュージョン法)を組み合わせるなど、当時としては珍しい試みに挑戦。その結果、ホップの香りと酵母の個性が際立つ、唯一無二の味わいが生まれたのです。

ORVAL(オルヴァル)のラベルに込められた意味

ORVAL(オルヴァル)のラベル
ORVAL(オルヴァル)のラベル

オルヴァルのラベルに描かれているのは、魚が指輪をくわえている印象的なシンボル。これは、修道院の名前の由来にもなった中世の伝説にちなんでいます。

その昔、伯爵夫人がこの地で大切な結婚指輪を泉に落としてしまったと言われています。彼女が祈りを捧げたところ、なんと魚が指輪を口にくわえて泉から現れたのです。

その奇跡に感動した伯爵夫人は、この地を「Val d’Or(黄金の谷)」と名付け、修道院の建設を支援したとされています。「ORVAL(オルヴァル)」という名前は、まさにこの伝説の「黄金の谷」に由来しているんですね。

著者:みゃーこ

ラベルに込められたこの物語は、オルヴァルビールの神秘的で奥深い味わいとも重なります。

このラベルデザインはいつ生まれた?

オルヴァルのラベル(魚が指輪をくわえたデザイン)は、1930年代初頭現在のオルヴァルビールが誕生した当時に作られました。

当時の醸造チームが造った唯一無二のビールの個性を伝えるために、この奇跡の伝説に基づいたビジュアルアイデンティティが採用されたというわけです。

ヨーロッパビール好きの洋子

ラベル、瓶の形、専用グラスのデザインはすべてこの時期に整えられ、90年以上たった今も変わらず使われているというのも、オルヴァルならではの魅力ですね!

日本におけるORVAL(オルヴァル)の人気と入手方法

日本ではまだおなじトラピストビールのChimayほど一般的ではありませんが、ビール通やクラフトビールファンには根強い人気

その独特な香りや酸味、三段発酵による奥深い味わいは、ビール通にとっては「一度飲んだら忘れられない存在」。特に、クラフトビールや自然酵母系の味わいを好む人たちに高く評価されています。

また、オルヴァルは熟成によって味が変化するビールとしても知られており、「若いオルヴァル」「熟成オルヴァル」を飲み比べる楽しみ方も人気のひとつです。

著者:みゃーこ

価格は1本あたり600円〜が目安で、限定入荷のことも多いため、見つけたら即ゲットがおすすめです!

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ORVAL(オルヴァル)の味わい方とペアリング

ORVAL(オルヴァル)のラベル裏側
ORVAL(オルヴァル)のラベル裏側

ORVAL(オルヴァル)は、その複雑で変化する味わいから「味わい方」にも少しコツがあります。また、他のトラピストビールと違って酸味やドライ感が際立つため、料理との相性(ペアリング)も独特。

以下、オススメの飲み方とペアリングをご紹介します♪

ORVAL(オルヴァル)の味わい方

飲み頃の温度

適温は12〜14℃

冷やしすぎると香りが閉じてしまうため、少し高めの温度がベスト。
飲む30分ほど前に冷蔵庫から出すと、ちょうどよくなりますよ。

グラス

オルヴァルには専用のゴブレット型グラスがあります。口が広く、香りがふんわり立ち上るため、
柑橘系のアロマや野生酵母由来の香りをしっかり楽しめます。

時間経過で変わる味

このビールは、製法の特性上、瓶内熟成が進むことで、味が変わります

  • 若いビールは…
    爽やか&ホップの苦味が際立つ

  • 数年経つと…
    酸味がまろやかになり、香りが複雑に
著者:みゃーこ

保存状態が良ければ、数年寝かせても美味しく楽しめるそうですよ!

ORVAL(オルヴァル)に合う料理・ペアリング

その爽やかな酸味とドライな余韻が特徴のORVALは、脂っこい料理や風味の強い食材と相性抜群です。

相性のよい料理

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カテゴリ料理名/食材ポイント
チーズ類白カビ系チーズ(ブリー、カマンベール)酵母の香りとミルキーなコクがマッチ
熟成チーズ(モンドール、シメイチーズ)熟成香とオルヴァルの酸味・苦味が調和
魚料理スモークサーモンドライで引き締まった味が燻製の香りを引き立てる
海鮮料理ムール貝の白ワイン蒸し貝の旨みと柑橘系の酸味が爽やかに重なる
肉料理ベーコンや生ハム(軽い塩味)塩味や脂をホップの苦味がスッキリ流してくれる
揚げ物フライドポテト(ベルジャン・フリッツ)揚げ油のコクに、ドライで爽やかな飲み口がベストマッチ
軽い前菜ピクルス、オリーブなど酸味と塩味のある前菜と絶妙なバランスを生む

飲むときのワンポイントアドバイス

・栓を抜いた直後は、一気に注がず2回に分けて。泡立ちが豊かなので、ゆっくりと。

・最後に残る酵母の沈殿(おり)を入れるかどうかは、お好みで。入れると味がまろやかに、入れなければよりシャープになります。

まとめ

ORVALは、ベルギー南部のオルヴァル修道院で造られる、世界に一つだけの個性を持つトラピストビールです。

  • 独自の「三段階発酵」と爽やかな酸味・複雑な香りが魅力
  • 英国スタイルを取り入れたユニークな製法(ドライホッピングなど)
  • 1年、2年と熟成で味が変化するので、飲み比べも楽しい
  • チーズや燻製料理、海鮮とのペアリングでより一層楽しめる

修道士たちの伝統と現代技術の融合から生まれたORVALは、ただのビールではなく“体験”そのもの

飲むたびに新しい発見がある、知的で奥深い一杯なので、ぜひゆっくりと味わってみてくださいね♪

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