
ビールの中でも独特な深い味わいを楽しめる黒ビール。でも、そもそも黒ビールって一体どんなビールのこと?
黒ビールは、どんな食べ物と相性がいいの?
今回は、黒ビールの基本的な情報から、日本でも気軽に飲めるヨーロッパの黒ビール銘柄、さらにはおすすめのおつまみまで、黒ビールに関する情報を詳しく解説します!
- 本記事の信憑性


当ブログの筆者はヨーロッパ在住、海外歴5年超。中東での“禁ビール生活”を経て出会った本場の一杯に心を奪われ、気づけば1,000本以上の現地ビールを飲んできました。
元法人営業の情報収集力と、3つのブログ・SNS運営で培った発信力を活かし、「ただの酒好きでは終わらない本気のビール愛」でリアルな情報をお届けします。
じっくりご覧いただけますと幸いです🙇♀️
そもそも黒ビールとは?


黒ビール(ブラックビール)は、その名の通り色が濃いビールで、一般的には強いロースト感や香ばしさ、時にはチョコレートやコーヒーのような風味が特徴です。
黒ビールは18世紀に誕生し、特に寒冷地で飲まれることが多かったため、強いコクと飲み応えが重視されました。アイルランドやイギリスで発展し、現在では世界中で愛されています。
黒ビールは、なぜ黒いの?
黒ビールが黒い理由は、ロースト(焙煎)した麦芽にあります。
ビールを作る際、麦芽は大麦を発芽させた後に乾燥させて使用しますが、黒ビールではその乾燥過程で高温で長時間ローストを施します。このローストの過程で、麦芽の色素が変化して黒や深い茶色の麦芽になります。


ローストの度合いによって色が変わるため、黒ビールの色合いはその麦芽の焙煎具合に左右されます。強くローストすればするほど、色が濃くなり、最終的に黒ビールになるというわけです。


黒ビールの独特の味はどうしてできるの?
黒ビールの独特の味わいも、このローストした麦芽に由来します。ロースト麦芽が生み出す成分としては、カラメルやチョコレート、コーヒーのような香りや風味があります。
具体的に言うと、ロースト過程で発生する化学反応(メイラード反応=主にアミノ酸と糖が反応して、褐色の色素や香りを生成する現象)や、麦芽中の糖分がカラメル化することにより、複雑でリッチな風味が生まれます。
たとえばスタウトやポーターといった黒ビールは、強いロースト感が特徴で、コーヒーやチョコレートのような風味を感じることがよくあります。この風味は焦げた麦芽の香りや糖分のカラメル化が、まろやかで深みのある味わいを作り出しています。
また黒ビールは通常、苦味と甘味のバランスが取れており、苦味が強くてもローストした麦芽の甘みがそれを和らげ、飲みやすくなることが多いです。


黒ビールはいつできた?黒ビールの起源と歴史
黒ビールの起源はかなり古く、ビールの歴史の中でも18世紀初頭のイギリスが大きな転換点となります。



以下、黒ビールの発展を大まかに時系列で解説しますね。
古代〜中世:黒ビールの登場前
ビール自体は紀元前から存在し、中世ヨーロッパでも広く飲まれていました。当時は麦芽を乾燥させる技術が未発達だったため、自然と色の濃いビールが多かったと考えられています。
18世紀初頭:ポーター誕生
1722年、イギリス・ロンドンで「ポーター」というビールが登場しました。ローストした濃色麦芽を使った香ばしい味わいと濃い色が特徴で、港湾労働者(=ポーター)に人気だったことからこの名がついたと言われています。
これが現代の黒ビールの原型となるスタイルの始まりです。
18世紀後半:スタウトの登場
「スタウト(Stout)」はもともと「強い」「濃い」といった意味を持つ言葉で、「スタウト・ポーター(強いポーター)」として発展しました。やがて独立したビールスタイルとなり、アイルランドのギネス(Guinness)をはじめとする、より濃厚でコクのある黒ビールとして知られるようになりました。
ドイツの黒ビール「シュバルツビア」
一方、ドイツには「シュバルツビア(Schwarzbier)」というラガータイプの黒ビールが存在します。中世から受け継がれてきた伝統的なスタイルで、イギリス系の黒ビールとは異なり、スッキリとした飲み口が特徴です。
発酵方法もポーターやスタウトのエールビールとは異なり、こちらは低温発酵のラガータイプになります。
まとめ
時代 | スタイル | 地域 | 特徴 |
---|---|---|---|
1700年代 | ポーター | イギリス | 黒ビールの元祖。労働者向けの香ばしい味わい |
1700年代後半 | スタウト | アイルランド | より濃厚でクリーミーな風味 |
中世〜現在 | シュバルツビア | ドイツ | ラガー系のスッキリした黒ビール |
黒ビールは、18世紀の産業革命期に「コクがあって腹持ちがよいビール」を求める労働者たちのニーズから生まれた、伝統と工夫の詰まったスタイルです。



長い歴史の中で形を変えながら、今も世界中で愛されているんですね!
黒ビールの代表スタイルの違いを比較
黒ビールの中には、主に「ポーター」「スタウト」「シュバルツビア」「デュンケル」、そして「ダークラガー」といった様々なスタイルがあります。それぞれ、使う麦芽の焙煎度合いや発酵方法、味わいに違いがあり、個性豊かな楽しみ方ができます。
以下の表で、それぞれの特徴を詳しく比較してみましょう!
黒ビールに含まれる主な種類一覧
項目 | ポーター(Porter) | スタウト(Stout) | シュバルツビア(Schwarzbier) | デュンケル(Dunkel) | ダークラガー (Dark Lager ) |
---|---|---|---|---|---|
発祥地域 | イギリス | アイルランド イギリス | ドイツ (中部) | ドイツ (バイエルン) | チェコ |
発酵タイプ | 上面発酵 (エール) | 上面発酵 (エール) | 下面発酵 (ラガー) | 下面発酵 (ラガー) | 下面発酵 (ラガー) |
麦芽の 焙煎度合い | 中程度 | 強め | 中程度 | 控えめ | 中程度 |
味わいの特徴 | 軽やかでまろやか チョコレート風味多い | 苦味が強い 焦げやコーヒー風味が特徴 | 香ばしくスッキリ ややドライ | 甘みとまろやかさがある モルティ | まろやかで甘みがある 柔らかな口当たり |
色味 | 黒〜濃い茶色 | 非常に濃い黒色 | 深いこげ茶〜黒色 | 濃い茶色〜こげ茶色 | 濃い茶色〜黒色 |
代表銘柄例 | サミュエルスミス・タディポーター | ギネス、サミュエルスミス・オートミールスタウト | クストリッツァー・シュバルツビア | エルディンガー・デュンケル | コゼル・ダーク |



黒ビールはスタイルによって味わいや飲みやすさが大きく変わるので、ぜひいろいろ試して自分好みの一本を見つけてみてくださいね♪
日本でも買えるヨーロッパの黒ビール代表銘柄





黒ビールの中でも、特に人気のある銘柄をいくつかご紹介します。
- ギネス ドラフト(Guinness Draught)
アイルランドを代表する黒ビールで、世界中で大人気。ギネスは1769年に創業された歴史あるブルワリーで、特にスタウトビールに定評があり、ギネスドラフトは、その中でも最も有名な製品です。
このビールの特徴は、クリーミーな泡と豊かなモルトの風味。ローストした麦芽の香ばしさと、ほんのりとした苦味、そして少しの甘みが感じられます。アルコール度数は約4.2%と比較的低めで、飲みやすいのも魅力です。
ギネスの詳細はこちらの記事にまとめています。
- サミュエル スミス オートミール スタウト
(Samuel Smith Oatmeal Stout)


イギリスの伝統的なビールメーカー「サミュエル スミス(Samuel Smith)」が作る黒ビールの一つです。このメーカーは、18世紀から続く歴史のあるブルワリーで、品質の高いビールを作り続けています。
このビールは、豊かなロースト感とともに、チョコレートやキャラメルのような甘みを感じられます。オートミールが使われているため、口当たりがとても滑らかで、まろやかな飲み心地が楽しめます。アルコール度数は5%前後で、重すぎず飲みやすいので、黒ビール初心者でも楽しめるでしょう。
このビールは、ビールの中でもコクがありながらも飲みやすく、デザートビールとしても人気があります。
サミュエル スミス オートミール スタウトの詳細はこちらの記事にまとめています。
- エルディンガー デュンケル
(ERDINGER Dunkel)


ドイツのエルディンガー社が製造する黒ビールです。エルディンガーは、特に小麦ビールで知られる有名なブルワリーで、世界中で多くのファンを持っています。
このビールの特徴は、濃い麦芽の風味とほのかな甘みです。ローストしたモルトから来る香ばしさと、わずかなキャラメルの甘みが感じられます。エルディンガーならではの小麦由来の滑らかさも加わり、黒ビールが苦手な方にも試しやすいビールで、小麦ビールの柔らかさとダークビールのコクを両立させたユニークな存在です。
エルディンガーの詳細はこちらの記事にまとめています。
黒ビールに合うおつまみは?


黒ビールはその深い味わいが特徴的で、それにぴったり合うおつまみがたくさんあります。
黒ビールに合うおつまみの特徴は、その濃厚でロースト感のある風味に合わせて、コクのある食材や風味が強い料理がよく調和します。たとえば、以下のおつまみを合わせると、さらに美味しく楽しめます。
カテゴリー | 料理 | 相性のポイント |
---|---|---|
チーズ | チェダーチーズ | 黒ビールのロースト感とチェダーチーズのコクが相性抜群です。 |
ブルーチーズ | 強い風味のブルーチーズと黒ビールの深い味わいが絶妙にマッチします。 | |
赤身肉 | ステーキやハンバーガー | 黒ビールの濃厚な風味と肉のジューシーさがよく合います。 |
ビーフシチューや煮込み料理 | 黒ビールの深いコクが、煮込み料理の味わいを引き立てます。 | |
揚げ物 | フライドチキンやポテトフライ | 黒ビールのまろやかな甘さが、揚げ物の油っこさを和らげます。 |
スモーク料理 | スモークサーモンやスモークチキン | スモークの香りと黒ビールのロースト感がぴったりです。 |
デザート | チョコレートケーキやブラウニー | 黒ビールのチョコレート風味とデザートの甘さが絶妙に調和します。 |



黒ビールと赤ワインは、どちらも深い味わいが特徴なので、濃厚な料理やチーズとのペアリングが良いです。
そのため黒ビールに合うおつまみは、赤ワインに合うおつまみと似たようなものが多いですね!
まとめ:黒ビールとは?
黒ビールはロースト麦芽による深い色と香ばしい味わいが特徴のビールです。代表的なスタイルはポーター、スタウト、シュバルツビア、デュンケル、ダークラガーで、それぞれ味わいや発酵方法が異なります。
コクのあるチーズや赤身肉、揚げ物、チョコレートなどと相性抜群。黒ビールの奥深い世界をぜひ楽しんでみてくださいね♪